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(不動産登記)公衆用道路は固定資産税は非課税ですが、登録免許税は課税されます

(不動産登記)公衆用道路は固定資産税は非課税ですが、登録免許税は課税されます

先月、久しぶりに箱根をドライブしてきました。富士山も紅葉もとても見ごろでした。日本人でよかった!

新しいオミクロン株の出現で、一時落ち着いていたようなコロナ禍、本当に油断できませんね。あと少しの2021年を何とか元気に乗り切りたいと魚本事務所全員、頑張っております。

今回は、不動産登記の登録免許税のお話です。

土地には「地目」と言って、土地の種類が登記されています。そのうち「公衆用道路」という地目は、読んで字のごとく公衆の皆が通行する道路として使用されている土地で、その利用目的から、その土地の所有者には「固定資産税」は課されません。その公衆用道路の名義(所有権)を移転することがあり、その登記をする場合のお話です。

所有権の移転登記には、その移転の原因が売買であれば、登記を申請する年度のその土地の固定資産税評価額(1000円未満切り捨て)に1.5%を掛けた(100円未満切り捨て)金額を登記申請の時に納税する必要があります。この登記申請に掛かる税金を「登録免許税」といいます。

先程の公衆用道路の場合、固定資産税が非課税ですから、これに1.5%を掛けても税金はかからないように思えますよね。ただし、そうではなくて、一定のルール(該当地の近傍の宅地の評価額(1㎡あたりの金額)に30/1000を乗じて出てきた金額に該当地の地積を乗じます)に基づき、産出された登録免許税を納税する必要があるのです。

例えば相続登記のご依頼を頂いたときに、被相続人が所有されている土地を確認するために、所有されていると思われる土地のある市区町村に「名寄帳」という所有不動産の一覧を交付していただくのですが、この「名寄帳」は、固定資産税が課税されている不動産の一覧のため、非課税である公衆用道路(の持分)を所有(共有)していても、一覧には出てこないため、相続財産として認識されないまま遺産分割協議が行われ、相続登記がその土地だけなされないような事態が起こることも珍しくありません。

相続登記の際は、その公衆用道路の近くに、例えば自宅用地である宅地を所有していることがほとんどのため、近傍宅地として当該宅地の金額を計算根拠にすることができるのですが、場合によっては、そのような近傍宅地がすぐに見当たらない場合がございます。その場合は、管轄法務局に相談をして、近傍宅地の指定を受け、その上でその近傍宅地の評価証明書を管轄自治体から取得するための「評価証明書交付依頼書」というものを発行してもらい、その依頼書を管轄自治体へ交付して、該当地の評価証明書を発行してもらう、という、とても煩雑な手続きになります。

実際、現在受任している事案でも、法務局との相談⇒自治体で非課税証明の発行⇒法務局で交付依頼書の発行⇒自治体で評価証明書(近傍宅地価格つき)をしてもらう、という手続きで結果1か月近くかかりました。

面積にしたら小さな公衆用道路でも、手続きが省略できるわけではありません。見落としがないように気を付けて業務に臨んでおります。(魚本)

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