商業登記:株主総会議事録と印鑑
あっという間に、6月もあと数日。ついこの間、お正月だったと思ったら、もう2021年の半分が過ぎようとしているなんて・・・。
そしてオリンピックの開催まで1月を切りましたね。私の事務所は、国立競技場までお散歩できる距離にありますが、もうすぐ!という「熱」は全く感じられません。どんなオリンピックになるのか気になる魚本です。
さて、本題に入ります。
6月末の今、定時株主総会後の登記手続きに追われています。
その株主総会の議事録についてですが、平成18年5月の会社法改正から、議事録への「押印」が義務ではなくなり、押印がなくてもその議事録は有効に成立することになっていますが、ご存じでいらっしゃいましたでしょうか?(会社法第318条・会社法施行規則第72条)
商法の時代では、議長と出席取締役の署名(又は記名押印)が必要でした。
ただし、会社の定款で株主総会議事録の記名押印者が定められていれば、会社のルールですので、それに従う必要があります。今一度、お会社の定款を確認されてください。商法の時代の定款の規定のまま残ってしまっているのであれば、定款規定を見直して変更をされたほうが議事録作成の負担が小さくなるでしょう。
また、印鑑の押印が全くない議事録の場合、本当にその会社の議事録なのか否かが判然としません。ですので、弊所で株主総会議事録の作成をお手伝いする場合は、代表取締役が議長かつ議事録作成者となられているケースが多いため、株主総会議事録の必要的記載事項である議事録作成者の氏名に加え、会社実印を押印していただき、議事録の真正担保の役割を果たすようにしております。
もう一つ、どんな場合の株主総会議事録においても、一切の押印が不要、というのではないので、注意が必要です。
例えば、取締役会を設置していない株式会社において代表取締役を株主総会において選定する、としている会社の場合は、その代表取締役を選定した総会議事録には、「議長及び出席した取締役が株主総会の議事録に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。」と規定されており、該当者の実印の押印が必要となります。ただし、代表取締役が再任(重任)され、その株主総会に出席していて、会社実印を押印していれば、他の取締役の実印の押印と印鑑証明書の添付は省略できます。
といった具合で、役員改選期にあたる定時株主総会の場合は、議事録への押印義務の有無と押印する印鑑について、注意が必要になります。
とても分かりにくいところでもありますので、そのような時は、どうぞお気軽にご相談下さい。(魚本)