公正証書遺言?それとも自筆証書遺言?
なんと、2022年も今日で1月が終わり・・・。早すぎます。魚本です。
今年は新年早々、いろいろと個人的にアクシデントがあり、私からは今回が初めての投稿なので、今更ながら、本年も宜しくお願い致します。(冒頭の写真は、お正月にお散歩した皇居)
ちょっと古い写真になりますが・・・いつもでしたら仕事始めの日に皆で初詣に出かけるのですが、今年はお客様とのお約束もあり、数日後に漸くお参りすることができ、今年も皆さんの幸せと弊所の職員の健康と商売繁盛をお願いしてきました。
さて本題。先日、自筆証書遺言を保管されていらした方のご依頼で、東京家庭裁判所に「検認(けんにん)」の申立てをしました。自筆で書かれた遺言書の場合は、この手続きを経ないと、遺言書に記載されている相続財産について、預貯金の払戻や不動産の名義書換ができません。この申立には、亡くなられた遺言者の方の法律上の相続人=法定相続人を証明するための戸籍一式を取寄せる必要があり、手間と時間がかかります。ただ、のんびりしていられません。令和元年7月1日に施行された改正民法で、相続であっても法定相続分を超えた分については、不動産の場合登記をしないと第三者に対抗できなくなったのです。
今回の検認についても、検認期日が1か月以上先に設定されましたので、戸籍一式の取寄せにかかった時間に加えさらに時間を要します。例えば、法定相続人間の関係性があまり良くない場合に、一部の者から法定相続分に応じた登記がなされ、その相続人(Aとします)が自己の法定相続分を第三者に売却し、その第三者が登記を備えました。遺言書には、相続人Bに当該不動産全体を相続させる、という記載されていても、先に登記を備えた第三者に対抗できない、という結果になります。ですから、自筆証書遺言が発見された場合、場合によっては迅速な対応が求められます。
そこでお勧めなのが「公正証書遺言」です。公証役場の公証人により、遺言者の意思を遺言にしてもらう方法です。原則として公証役場に遺言者が出向く必要がありますが、遺言者のお身体のご都合によっては、公証人に出張してもらうことも可能です(別途費用は掛かります)。自筆証書遺言は、遺言者の書きたいときに自由に書けますが、公正証書遺言は、準備が必要ですし、費用が掛かります。また、利害関係のない成年2名が証人として必要です。メリットデメリットがそれぞれありますが、先程申し上げた「検認」手続きが公正証書遺言の場合は不要となるのが、最大のメリットで、よって遺言者がお亡くなりになり遺言の効力が発生すれば、迅速に登記や金融機関の手続が可能です。
令和2年7月10日より、法務局による「自筆証書保管制度」が始まりました。これを利用すれば、自筆証書遺言でも「検認が不要」になります。が、その保管のために、遺言者本人が管轄となる法務局に出向いて保管をしなければならず、用紙のサイズや余白など一定の様式に従う必要があります。これまで様々なお客様にご紹介は致しましたが、実際の手続をご説明すると、多くの方が公正証書遺言を選択されています。
ここでは、自筆証書遺言と公正証書遺言のメリットデメリットの一部をご紹介いたしましたが、ご自身の相続財産をご自身の希望通りに繋いでいくために、是非、遺言を活用していただきたいと思います。
具体的なお手続きについては、是非一度ご相談下さいませ。遺言を書くには、税金問題も絡んできます。税理士とも連携して、税務上の問題も安心した相続になるような遺言書をお書き頂き、安心した生活を送って頂きたいと考えています。