AIと司法書士
こんにちは。久しぶりの書き込みです。あっという間にゴールデンウィークになってしまいました。
CHATGPTがニュースになり、国会の質疑応答でも取り上げられていますね。
登記や裁判の手続きにもDXは起きていて、コロナ禍でそのスピードが急激に増しました。商業登記では電子署名された添付情報による申請がスタートしていますし、家庭裁判所の調停もオンライン調停が実施されています。
最近SNSを利用していると、商業登記申請書類をオンラインで作成できるビジネスの広告をあちこちで目にします。廉価で、必要事項を入力すれば、登記手続きに必要な書類を自動的に作成できる、というサービスのようです。とても便利なサービスだなぁ、と感心しました。我々司法書士の業務にとって変わられてしまうのでは!?と思ったりもしますが、私達司法書士が提供しているサービスとは大分違うと感じます。
例えば、会社設立登記のご相談ご依頼を頂きましたら、まずはお客様の今お考えになられていることをじっくりお話し頂き、そこから、将来どのように事業を展開されたいのか、1年後、3年後、10年後に思いを馳せて、その上で定款案についてのアドバイスをさせて頂き、一緒に定款を作っていきます。会社組織や取り巻く法律についてお詳しい方もいらっしゃいますが、初めて起業される方であれば、定款がどのような役割を持つものなのかをご存じない方もいらして、それらをご理解頂くことが、スタートするビジネスにとってはとても重要ですから、しっかりご説明をして、ご理解いただくように心掛けています。昔ですが、廉価でクリックだけで会社設立できるネットサービスを利用して登記を終えた経営者の方から、役員のご変更登記のご依頼を受けて、定款、株主名簿を見せて下さい、とお願いをしましたら、何も受け取っていない、とおっしゃられた方がいました。登記簿を見てみると、会社分割により設立、とされていて、純粋な新規設立と違っており、それはそれは驚きました。ご本人は全くご存じなかったのです。
その時必要な手続が、法的にも整理がされ、かつ、時間、費用を節約して、その時の手続きを実現させる、そのことは、全く問題ないのですが、今必要とされている手続きがどのような法律に基づき、その会社にとってその選択肢しかないのか、将来的にその選択が良いのかなど、クリックだけでは得られない情報を検討しながら、登記手続きを進めて行くことに、私達司法書士の存在意義は間違いなくあると、確信しています。(魚本)