司法書士 魚本晶子 事務所

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法律と生きづらさ

法律と生きづらさ
スワローズファンの私は、今年はとても気持ちのいい年です!先日応援(応燕)に行ったときのつば九郎

数日前まで半袖を着ていましたのに、暖房が欲しくなるほどの冷え込みとなり、一挙に季節が進みましたね。体調崩されたりされていませんか?私は、図太いせいか元気です。

ある商業登記事案に当たり、考えたことがあります。

商業登記簿には、役員の氏名が登記されます。本人確認書類の添付をして、その実在を立証して登記をします。弊所の女性司法書士も、結婚前から司法書士として仕事をしていますから、司法書士としては婚姻前の旧姓で司法書士登録をしています。司法書士の制度は比較的整っているほうだと思います。一般の社会において、どの程度旧姓使用が進んでいるのでしょうか?業界によっても異なると思います。

以前、といっても10年以上前だと思いますので、もう制度が変わっているかもしれませんが、婚姻後も旧姓のままお仕事をされていらっしゃるお医者様と出会いました。医師免許については、婚姻で氏(姓)が変わってもその届け出が不要なため、その方が一般社団法人化した学会の代表理事となられた際に、添付する印鑑証明書上の氏と、職務上で使用している氏が異なるため、法人の関係者に氏が異なることが知れてしまうことは避けたい、とのご希望があったのです。当時は、現在認められている婚姻前の氏を登記簿上に併記する法律はありませんでした。私もその方の気持ちが痛いほど理解できたので、ダメであってもそのような必要性がある人がいることを知らせないと、という思いで、法務局に相談に掛け合ったことを強く覚えています。しかし、どんなに一人が主張しても、法律に規定がない以上、その方の望みは叶いませんでした。

平成27年に旧姓併記の法律ができました。

法務省:添付書面としての本人確認証明書及び婚姻前の氏の併記について (moj.go.jp)

旧姓併記の制度ができた現在でも、まだ、問題はたくさん残っていると感じます。この制度は、あくまで、婚姻により氏が変わった方が、婚姻後の氏と併せて、婚姻前の氏を併記する、との場合に限定されているのです。例えば、離婚で復氏(婚姻後の氏から、婚姻前の氏に戻る)した方や、養子縁組で氏が変わった方などは含まれません。登記簿に登記を必要とする役員の「個人情報」として、身分にかかわることに変化があったことが登記簿から明らかになってしまうのです。そもそも、日本の家族制度は、婚姻により夫婦の一方の氏を名乗ることになっているため、このようなことになるのですから、現状はこれ以外の方法がないのです。

私個人としては、このようなこと一つ一つが、生きづらさに繋がっているのでは、と感じます。婚姻により氏を変えるのは、(そうでないご夫婦ももちろんあると思いますが)ほとんどが女性です。女性が社会で仕事をするうえで、この氏の問題は、面倒なことがいろいろとあります。夫婦別姓についての議論は随分とされていますが、進展しているようには思えません。国民にマイナンバーが付され、情報のデジタル化が進んできた現在においては、家族制度を維持管理する上で、できるだけ生きづらさを感じずにいられるような制度策定を進めて、登記においても、悩むことなく適正に情報が公示されて、安心安定した社会経済活動の支えとなる制度になっていくことを、私個人としては期待しています。(魚本)

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