不動産登記:贈与の登記は今年中に!
昨年セリーグ最下位だったヤクルトスワローズが、今年は見事にリーグとクライマックスシリーズに勝ち、日本シリーズに進むことになりました。スワローズファンの私にとっては、今年はオリンピックスで野球の金メダルを見た上に、この快進撃は、本当に嬉しいです!ぜひ、日本一になってもらいたいと思っています。
さて、今年もあと残すところ1か月半となりました。
この時期にお問合せの増える事案に、「不動産の贈与の登記」があります。贈与税が課されるのは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた額に応じてで、基礎控除の110万円を超える部分に課されてきます。また、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという「夫婦間贈与の特例」という制度もあります。また、2019年7月1日施行の相続法の改正で、この夫婦間贈与により贈与されたものにつては、相続財産への「持ち戻し免除の意志表示」があったと推定されることになり、これにより相続後に自宅の贈与につき、相続財産に持ち戻す必要がなくなりました。
この夫婦間贈与の特例を受けるための要件は、次のとおりです。
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
(国税庁ホームページよりNo.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁 (nta.go.jp))
不動産には固定資産税が課されますが、これは、1月1日現在の所有者に対して課され、通常、不動産登記簿の登記名義人に固定資産税の納税通知書が発送されます。
以上のことから、年内に贈与をし、次年度の課税を受贈者に変えたいような場合は、登記を年内に済ませる必要があります。
夫婦間贈与の登記をする前提には、前述の特例を受けられる要件を満たしていることを確認をして、暦年贈与の非課税部分と併せて当該非課税となる居住用不動産の持分等につき、税務上の問題がないかの確認をする必要があります。また、贈与者の登記簿上のご住所と現住所とが異なる場合(お引越しをしていたが、登記名義を変えていなかった場合など)は、贈与の登記の前提として、そのご住所の変更登記も必要になり、準備に時間を要することもあります。
年内に登記を済ませないと、1月1日において登記が完了しておらず、1月1日現在の所有者として納税通知書を発送する手続き上、みなされないようなことも起きてきます。
気持ちよく贈与をして、手続きを終えて新しい年を迎えられるよう、この手続きをお考えの方はご準備をなさってください。(魚本)